文章修正や契約書チェックに役立つ『difff(デュフフ)』の活用法と安全な利用方法

文章を編集していると、「どこを修正したのか分からなくなってしまった」「新旧の文章を比べたい」といった場面は多くあります。そんなときに役立つのが、無料で使えるテキスト比較サービス「difff(デュフフ)」です。difffはWebブラウザ上で利用できるシンプルなサービスで、2つの文章を貼り付けて比較するだけで、差分を色付きで分かりやすく表示してくれます。余計なインストールやユーザー登録は不要で、思い立ったときにすぐ使えるのが大きな魅力です。

サービスの基本機能

差分の可視化

difffの最大の特徴は、文章の差分を即座に視覚化できる点です。テキストを左右に並べて表示し、異なる箇所を色付きで強調します。どの文字が追加されたのか、削除されたのかが一目で分かるため、改訂内容の確認がスムーズになります。文字単位での比較だけでなく、行ごとの変更点も見やすく表示されるため、長文の修正にも対応できます。

統計情報の表示

単純に差分を表示するだけでなく、文字数や行数といった統計も確認できます。文章量の変化や全体のボリュームを把握できるので、ライティングやドキュメント作成における進捗管理にも役立ちます。

結果の共有機能

比較結果は「結果を公開する」機能でサーバーに保存し、共有用URLを発行できます。公開期間は3日間で、削除用のパスワードも設定可能です。なお「結果を公開する」を押さない限り、入力した文書がサーバーに保存されることはありません。共有URLは誰でも閲覧できる前提で扱い、機密情報を含む比較は避けましょう。

HTTPS対応

通信はHTTPSで暗号化されます。第三者による盗聴リスクは低減しますが、公開URLを発行した場合は閲覧可能範囲が広がるため、アクセス管理の観点では依然として注意が必要です。

オープンソースとして公開

difffはGitHubでソースコードが公開されており、自社サーバーやローカル環境へ導入できます。社内規程や法務文書など機密性の高いテキストの比較は、オープンソース版を自前環境で運用するのが安全です。

開発の歴史

difffは2004年に初版が公開され、その後、日本語対応や大規模リニューアルを重ねてきました。英語ページの公開やGitHubでのソースコード公開など、長期的に改善と整備が続けられてきた実績があります。

活用シーン

ライティングや編集作業

ブログ記事、取材原稿、レポートなど、前稿と最新版の差分を一目で把握できます。校正やレビューの効率化に大きく貢献します。

法務文書や規約の改訂チェック

利用規約やプライバシーポリシーの改訂箇所確認に有用です。契約書や規程文書の修正点を迅速に発見でき、業務の正確性向上に役立ちます。

プログラムコードや設定ファイルの比較

小規模な変更点の確認やレビュー前の差分チェックに便利です。学習用途や個人開発でも手軽に使えます。

利用上の注意点(重要)

データの扱いと共有URLのリスク

共有機能で公開した比較結果は3日間閲覧可能で、URLを知っていれば誰でもアクセスできます。生成したURLは外部に漏えいする可能性もあるため、機密情報や個人情報を含む比較結果の公開は避けてください。公開期間を過ぎると自動で削除されますが、第三者に想定外に伝播する可能性も考慮が必要です。

機密文書の比較は「自前運用」を推奨

社内規程、契約書ドラフト、顧客情報を含む文書などは、GitHub公開のソースコードを用いて社内環境で稼働させるのが最も安全です。Dockerなどを利用すれば、比較的容易に自前運用が可能です。

「保存されない=送信されない」ではない点に注意

「結果を公開する」を押さない限りサーバーに保存されませんが、比較処理自体はサーバー側で実行されます。ネットワーク送信が発生する前提で取り扱いましょう。社外秘のテキストは基本的に外部サービスへ貼り付けない運用ルールが安全です。

文字種や改行の違いが生む“見せかけの差分”

全角と半角、句読点の種類、改行コードの違い、タブとスペース、ゼロ幅スペースなどは、実質的に意味が変わらなくても差分として検出されます。比較前に入力テキストを整形し、表記ゆれを減らすと効率的です。

長文比較時のパフォーマンス

非常に長い文書や多数の差分を含む比較では、処理時間の増加やブラウザ負荷の上昇が起こり得ます。章ごとに分割して比較するなど、入力を軽量化すると安定します。

運用の継続性と社内ルール

共有機能はテスト運用であり、予告なく中止される場合があります。重要業務での利用はBCP上のリスクとなり得るため、代替策や自前運用の手順を定めておくと安心です。

安全かつ効率的に使うためのコツ

公開しない前提でのレビュー運用

外部共有が不要なレビューでは、公開機能を使わず画面共有やスクリーンショットで差分を確認する方法が安全です。どうしても共有URLが必要な場合は、3日で失効する前提で短期のレビューに限定し、削除パスワードを必ず控えて運用しましょう。

比較対象の事前整形

比較前に記号や空白の統一、改行コードの揃え、機種依存文字の置換を行うと、差分のノイズが減り、レビュー精度が上がります。特に契約書や規約は条番号単位で分割し、章ごとに比較する運用が効果的です。

自前運用でのワークフロー整備

社内サーバーに導入する場合、アクセス権限、ログ保存ポリシー、バックアップ、監査証跡、公開機能の無効化など、情報セキュリティ要件に沿った設定を行いましょう。Dockerを活用してテスト環境を用意し、安定運用後に本番適用する流れが現実的です。

まとめ

difff(デュフフ)は、ブラウザだけで手早くテキストの差分を可視化できる便利なツールです。一方で、共有URLの公開性、比較データのネットワーク送信、文字種や改行差によるノイズ、長文処理時のパフォーマンスなど、実務で安全かつ正確に使うための注意点があります。機密情報を扱うときはオープンソース版の自前運用を基本とし、公開機能の性質や運用上の失効期限を理解したうえで目的に応じて使い分けることで、ライティング、法務、開発、教育など幅広いシーンで高い効果を発揮します。

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